MEMSドライバー技術の現状

近年、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ドライバーの応用がオーディオ分野で注目を集めている。一方で、従来のMEMSユニットは専用アンプを必要とするケースが多く、一般的なポータブル再生機器との互換性が課題とされてきた。駆動環境の制約は、MEMS技術の普及における大きなハードルとなっていた。
無源デュアルMEMSによる新アプローチ
こうした状況の中、海外メーカーVortexが発表した「Vortex Reference」は、無源型のデュアルMEMS高音ユニットを搭載。独自の音響構造およびATCC回路設計により、外部専用アンプを必要としない駆動方式を実現したとしている。一般的なポータブルプレーヤーやDAPでも駆動可能とされ、MEMS技術の実用化における一つの転換点となる可能性がある。
ハイブリッド構成と主要スペック
ドライバー構成は、2基のダイナミックドライバーと2基のMEMSユニットによるハイブリッド方式を採用。公表スペックは、インピーダンス23Ω(1kHz)、感度102dB、再生周波数帯域10Hz~80kHz。特に高域の伸びや微細情報の再現性を重視した設計が特徴で、音質評価の基準機としての位置付けを掲げている。
4.4mmバランス接続と総合設計思想
ケーブルには4.4mmバランス接続を標準採用し、線材構造を含めた総合的な音響設計が意図されている。単なる新製品投入にとどまらず、「音質評価のリファレンス」として市場に提示する姿勢は、近年のHi-Fi市場における高性能化競争を象徴する動きといえる。
