中国のオーディオメーカーFiiOは、据え置き型の新型DAC/ヘッドホンアンプ一体機「K15」を正式に発表し、各販売プラットフォームにて販売を開始した。希望小売価格は3,499元(約480米ドル)で、カラーはシルバーとブラックの2色展開となっている。

本機は、同社の上位モデル「K17」の設計思想を継承しつつ、高いコストパフォーマンスを実現したエントリー・フラッグシップ機と位置付けられている。

K15は、車載グレードのAKM製AK4497SVQ DACチップを2基搭載。これにより、32bit/768kHz PCMおよびDSD512のネイティブ再生に対応し、高品位なデジタルオーディオ信号の処理を可能としている。さらに、AB級ディスクリートトランジスターによる三極管構成のヘッドホンアンプを搭載し、最大出力は各チャンネル3,000mWに達する。これによりインピーダンスの高いヘッドホンにも余裕を持って対応可能で、滑らかで自然な音色が楽しめる。

内部回路は、DAC、ローパスフィルター、ゲインコントロール、ヘッドホン出力すべての経路において全差動構成を採用。これにより、広いダイナミックレンジとともに、クロストークやノイズを低減し、音質を高精度で維持している。また、電源、デジタル、アナログ回路は独立した基板に分離配置されており、セクション間の干渉を最小限に抑え、音の純度と繊細さを向上させている。

電源設計にもこだわり、内部には30Wクラスの計測器グレード電源を内蔵。さらに、外部DC入力によってリニア電源との組み合わせも可能で、音質のさらなる向上が図れる。デジタル/アナログの分離給電、アナログ部の段階的給電によって、常に安定かつクリーンな電力供給を実現する。

加えて、Accusilicon製のフェムト秒水晶発振器を2基搭載し、音声信号の精密なクロック同期を実現。SoCにはX2000高性能マルチコアプロセッサーを採用し、音楽再生の安定性と応答性を確保している。

K15はUSB DACとしての利用に加え、ローカル再生やストリーミング、光・同軸デジタル入力、バランス/アンバランス入力、Bluetoothデコードにも対応するなど、柔軟な運用が可能。ネットワーク面でもギガビットLANポートと2.4GHz/5GHzのデュアルバンドWi-Fiモジュールを搭載し、ロスレス音源のストリーミング再生にも対応している。

精緻な筐体デザインと実用性を兼ね備えたK15は、オーディオファンに向けたコストパフォーマンスに優れた新たな選択肢として、今後の注目を集める製品となりそうだ。