今回からmimiオーディオさんにレビュー記事の転載をさせていただくことになりました。西野績葉(にしのせきよう)と申します。mimiオーディオさんからレビュー記事の出稿依頼が来たため、時々レビューやコラムなどを執筆いたします。

Fosi AudioのK7がやってきました。
これには正直、期待と落胆が入り混じっています。Fosi Audioといえば、これまでFX-AUDIO製品に似た価格帯の機種が多かった印象ですが、2025年に入ってK7、ZD3、そして平面駆動ヘッドホンi5と、積極的に攻めてきたんですよね。その意気込みは見どころだと思いますが、K7は私にとって「惜しい」の一言に尽きます。

 

ハードウェアは意欲的、でも詰めが甘い?

K7は、DACチップにAKM4493SEQ、オペアンプにOPA1612、ヘッドホンアンプにTPA6120A2と、どれも定評あるチップを使っています。電源もLDOを多数搭載していて、音質へのこだわりは感じられます。
ただ、低位相ノイズとか、44.1/48kHz系独立水晶発振器といった、クロック面での配慮に関する言及が見つからないのが気になりますね。公式のYouTube動画を見ると、XMOS XU208の周りに発振器が3つあるようにも見え、独立している可能性もゼロではないんですが、公式情報がない以上、なんとも言えません。このあたり、しっかりアピールしてほしかったところです。
箱から出したときのずっしりとした重さには驚きました。
実測で約518g。フルアルミニウム合金CNC加工ボディのおかげでしょう。これは所有欲を満たしてくれるポイントです。
背面にはちゃんと技適マーク(205-210117)もあって、日本市場への対応はしっかりしているなと感心しました。

ただ、同梱のACアダプタにはPSE表示がなく(メーカー対応済みで、交換品の請求ができるようです)、電源コードにはあるという、チグハグな状態。これも、日本のユーザーとしては気になるところです。

デザイン優先で使い勝手を犠牲にしたパネル

正直、K7のパネル表示は見た感じはいいのですが、デザイン優先で実用性軽視としか言いようがありません。黒地に灰色の文字は小さくて、老眼が出てきている私のような目の悪い人には非常に読みづらいんです。電源ボタンを探すのに少し苦労しましたし、説明書の「④が電源ボタン」という記述も、パネルの小さな電源アイコンだけだと分かりにくい。素直に「電源オン/オフ」と書いてくれればいいのに、と思ってしまいます。

付属のUSBケーブルは、C-Cケーブルの先にA-Cアダプタが付いていて、PCからスマートフォンまで幅広く使えるのは便利ですね。しかも、A-Cアダプタがなくなりにくい工夫がされているのは、地味に嬉しいポイントです。
Bluetoothは受信専用なので、TWSやBluetoothヘッドホンに音を飛ばすことはできません。この点は、購入前にしっかり確認しておくべきでしょう。

操作性とマイク機能:不満点が多すぎる

マイク入力に関しては、個人的にかなり不満が残ります。

  • ダイレクトモニター機能がないのは、本当に痛い。遮音性の高いヘッドセットを使うと、自分の声がよく聞こえないから話しにくいんです。PC側でモニタリングしても、遅延で使い物になりません。6,000円台で買えるM-AUDIO M-Track Soloにだって、入力レベルオーバー表示LEDとダイレクトモニター機能は付いていますからね!このあたり、マイク入力のある機器の仕様決定・設計に経験不足を感じざるを得ません。
  • マイク入力のレベルメーターがないのも、非常に不便です。マイクの音が歪んだときに、本機のマイク入力オーバーなのか、PC側の設定が悪いのか、判別しにくい。トラブルシューティングもやりにくいし、ストレスがたまります。
  • マイク入力がUAC1.0でしか使えないというのも、大きな問題です。UAC1.0だとDAC・ADCともに48kHz/16bitしか使えません。つまり、ゲーム中にマイクを使うならUAC1.0、音楽リスニングで高音質を求めるならUAC2.0に切り替える必要があるんです。こんな煩雑な操作を強いられるなんて、信じられません。説明書には記載がありますが、商品ページには記載がないのも不親切です。
  • マイク入力の仕様が公表されていないのも謎です。入力インピーダンス、ゲイン調整範囲、最大入力レベル、ADCの対応サンプリング周波数範囲など、必要な情報が何もない。
  • 商品ページには「スマートノイズキャンセリング処理」があるとありますが、ノイズリダクションをOFFにできるかどうかも不明。こういうのは、ユーザーがON/OFFを選択できるようにしてほしいものです。
  • 付属の2in1マイク/オーディオケーブルを使って、いくつかマイク付きイヤホンやヘッドセットを試しましたが、感度が不十分だったり、マイクが音を拾わなかったりすることがありました。手持ちの別の変換ケーブルを使ったら収音できたので、付属ケーブルの品質に問題がある可能性が高いですね。
  • マイクのミュートは右のツマミを押すんですが、これが斜めからでは押せず、垂直に押し下げる必要がある。操作しにくいし、専用のボタンが欲しかった。ミュート時のアイコン表示も小さくて分かりにくい。
  • マイク入力にはプラグインパワー用の電圧(約2.9V)が掛かっているので、ダイナミックマイクの接続は要注意です。K7の仕様や説明書などに、プラグインパワー対応であることやダイナミックマイク接続に関する注意点を記載すべきでしょう。
    入力切り替えとBluetoothコーデック

K7はUSB、BT、S/PDIF(光・同軸)と多種の入力方法をサポートしていますが、INPUTボタンを押して手動で切り替える必要があります。S/PDIF入力も、光と同軸を自動で切り替えてくれるわけではなく、手動で選ぶ必要があります。入力の優先順位で悩むことはありませんが、面倒だと感じる人は多いでしょう。
Bluetoothに関しては、商品ページに「ロスレス再生:PCM 24bit/48kHzのサンプリングレート対応」とありますが、コーデックがSBC/AAC/aptX/aptX LL/aptX HDではロスレス対応は無理でしょう。公式のYouTube動画でもロスレスをアピールしていますが、これは消費者を誤解させる表現だと思います。個人的にはLDAC非対応なのも残念。aptX系をズラッと並べられても、あまりありがたみを感じません。

トーンコントロールと音質

一部レビューでEQはUAC1.0では使えないという話がありましたが、私の環境ではUAC1.0、2.0どちらでも使えました。これはゲーム用途でUAC1.0を使う際にトーンコントロールが効かないと困るので、良かったです。一番右のボタンを押すとBass/TrebleとMicゲイン(UAC1.0の場合のみ)が切り替わります。高音を少し増強、低音を少し減らすなどで、確かに足音は聞き取りやすくなりました。ただ、中低域や中域もコントロールできれば、さらに効果は上がるだろうと感じる場面もありましたね。トーンコントロールのバイパスON/OFF時に音が途切れる時間が長いのは少し気になります。
音質に関しては、正直、1万円程度のドングルDAC(例えばTRN TE-PROなど)に対してさほど優位性は感じられませんでした。場合によっては負ける、と感じることも。私の主観では、マイクロな抑揚が弱く、やや陰気くさい音で、音楽を聴いていても楽しくないんです。
10分も聴いていると、別のDACに交換したくなってしまいます。
4.4mm出力でHIFIMAN Sundaraを充分な音量で鳴らせたのは評価できますが、音の質が好みのものではないかなと思ってしまいました。
ただ、音が悪いという程までは言えませんし、水準なりの音は聴くことができるとも言えるるので、コストパフォーマンスは機能を考えれば良いので、音質については個人的には少し残念です。

総評:重厚な金属ケースの「惜しい」製品

Fosi Audio K7は、重厚な金属ケースは素晴らしいですし、多機能ではあります。しかし、マイク機能のダイレクトモニターの欠如やレベル表示のなさは致命的です。加えて、マイク機能がUAC1.0限定で、DAC機能も制限されるというのは、ゲーマーにとってもオーディオ愛好家にとっても中途半端すぎます。
デザインを重視しているように見えますが、私には使いにくい点が多すぎると感じました。動作状態が中央の表示部に集約されているのは良いのですが、EQバイパスやマイクミュートの状態表示は、LED表示も併用した方がより分かりやすくなったでしょう。

ある種のコストパフォーマンスの高さは価格からすると感じられますし、Fosi Audioの意気込みは感じましたが、このK7はゲーム用、音楽用、どちらの用途でも不十分で、中途半端。次期モデルでは、ユーザーの使い勝手を考慮した設計改善を強く望みます。
褒められるのは、その重厚な金属ケースの質感です。
ビルドは高く満足感もあると思います。

UAC1.0でいいのでマイクが使えてほしい、価格なりの音が出るDACが搭載されている点、このダイアル操作が好きなどの好印象の部分を評価し、無線もLDAC非対応でApt-xHDまででよく、といった条件が気にならない場合などで、コストパフォーマンスの優位性を見出す方にはお勧めです。

 

(ここまで)

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