中国のハイエンド・オーディオブランドHIFIMANは、同社を象徴する名機「HE6」の後継機として、次世代平面駆動型ヘッドホン「HE600」を正式に発表した。国内外での希望小売価格はおよそ720米ドルとなる。
2012年、米「Forbes」誌にて「HIFIMANが製造した中で最も価値あるヘッドホン」と高く評価された「HE6」は、同年CNETからも「最も音質の優れたオーディオ製品」に選出され、ハイエンド・オーディオファンの間で“終のヘッドホン”として称えられてきた。そんな伝説的モデルの設計思想を継承しつつ、現代技術で大幅にブラッシュアップされたのが「HE600」である。
新製品「HE600」では、稀土類を使用しない独自の強化磁気構造を採用。磁性材料と構造を最適化することで、稀土マグネットに迫る高感度とフラットな周波数特性を実現している。感度は94dBに向上し、自社製の真空管アンプ「GA-10」などミドルレンジのアンプでも、HE6に近い駆動感と繊細な音質表現が可能になった。
さらに、HE600は次世代「超ナノ厚」ダイアフラムを搭載し、初代ナノ振膜の約60%まで厚みを抑えた極薄設計となっている。これにより高域のレスポンスが向上し、空気感や倍音表現に優れた音質を実現。また、装着性にも配慮されており、次世代エルゴノミクスに基づく新型ヘッドバンドにより、軽量化と長時間リスニング時の快適性が大幅に向上した。
音質チューニングにおいても、HE6をハイパワーアンプで駆動した際の特性に近づける設計が施されており、従来のファンのみならず新たな世代のリスナーにも訴求力のある仕上がりとなっている。
HE600は、ハイエンドオーディオの世界において技術と情熱を追求するHIFIMANの理念を体現したモデルであり、オーディオファイルにとって“情熱を呼び覚ます再誕”とも言える一台である。