パナソニックは、Technicsブランドのグランドクラス・ダイレクトドライブターンテーブル「SL-1200G」の集大成モデルとして、マスターエディション仕様の「SL-1200GME-S(シルバー)」および「SL-1210GME-K(ブラック)」を発表した。発売は2026年1月下旬を予定しており、世界限定でSL-1200GMEが1,200台、SL-1210GMEが1,210台の販売となる。直販価格はいずれも599,940円(税込)。

SL-1200Gの10年を凝縮したマスターエディション

2016年のSL-1200G発売以降、10年にわたり培われた技術とノウハウを結集。今回のマスターエディションは、その進化の頂点として開発された限定モデルである。
天面には「Master Edition」の銘とシリアルナンバーを刻印したプレートを配置。さらに、天面刻印、トーンアーム、ヘッドシェル、ダストカバー上のTechnicsロゴまで、すべてゴールドで統一した特別仕様デザインが施されている。

最新モーター技術「ΔΣ-Drive」を採用

駆動方式には、Technics独自の最新モーター制御技術「ΔΣ-Drive(デルタシグマ・ドライブ)」を新採用。
ΔΣ変調のPWMキャリア周波数を従来モデルよりも高速化し、約20kHzに設定することで、可聴帯域内のモーター駆動ノイズを大幅に低減。これにより、モーターの微振動をさらに抑制し、より静粛で滑らかな回転精度を実現している。

新ツインローター型コアレス・ダイレクトドライブ・モーター

モーター自体にも改良が施され、コイル取り付け基板に両面基板を採用。補強パターンを追加することで剛性を高め、微小振動を徹底的に排除した「新ツインローター型コアレス・ダイレクトドライブ・モーター」を採用している。
さらに、モーター駆動用の電源回路には「Multi-Stage Silent Power Supply」を搭載。ノイズの少ないクリーンな電源供給によって、より豊かで立体的な音表現を実現したという。

回路設計と構造の最適化

SL-1200GR2やSL-1300Gの設計ノウハウを継承しつつ、制御基板には新たに4層基板を採用。モーター、デジタル回路、LED電源、グラウンドを分離した構成により、信号干渉を最小限に抑えている。
さらに、3層構造のプラッターを精密にバランス調整し、マグネシウム製トーンアーム、4層構造シャーシを採用。限定モデル専用の「αGEL」インシュレーターも装備し、不要振動を徹底的に吸収する。アームはユニバーサルS字形のスタティックバランス型を採用。

高級オーディオの象徴としての存在感

外形寸法は453×372×173mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約18kg。Phono端子×1、Phonoアース端子×1を備え、針圧調整範囲は0〜4g(針圧直読式)。付属のヘッドシェル質量は約7.6g。
Technicsが誇る精密な設計思想と音響工学を融合させた「SL-1200GME/1210GME」は、アナログターンテーブルの歴史における一つの到達点といえるだろう。